「場面緘黙症」だと診断されていない頃の話はまだまだ続きます。
年中も半分位が過ぎ、心も体もだいぶ成長してきました。
そんな時、私の前に立ちはだかった壁。
それは、長男の事を不思議に思うお友達の存在です。
「どうして〇〇(長男)くんは、喋らないの??」と、幼稚園に私が行くたびに、同じクラスのお友達は私に聞きました。
会えば必ず。
それも何人もの子たちが。
もちろん、年中さんの子供たちに悪意などありません。
ただただ純粋に、真っ直ぐな気持ちで、喋らない長男に対し、「なぜ喋らないのか?」と私に尋ねるのです。
初めのうちは、「なんで喋らないんだろうねぇ・・・。」とか、「緊張しちゃってお喋りするのが苦手なんだよ。」とか、答えていました。
でも、子供たちのその純粋さは、時に残酷です・・・。
毎回毎回、常に繰り返し聞かれるうちに、つい少し苛ついてしまうこともありました。
そして心の中ではこう叫ぶのです。
「なんで喋らないのか・・・、それは私が一番知りたいよ!」
「なんで喋らないのか分からないから、苦しいんだよ!」
「誰か教えてよ・・・」
と。
もちろん、そんな言葉は飲み込んで、ニコニコしながら「なんでだろうね~?」と答えている私がいますが。
お友達も傷ついていた・・・!?
長男は、お友達が挨拶してくれても、話しかけてくれても、うんともすんとも答えません。
幼稚園では。
ただ前を見つめていたり、下を向いてしまったり、困った顔で私に助けを求めたり。
その度に、私が元気よく挨拶を返したり、返事をしたりしていました。
私が一緒にいる時はまだいいんです。
そうやってなんとかその場をごまかせるから。
でも、問題は長男が一人の時です。
何も答えない、答えることができない長男は、どうしているのでしょう・・・。
案の定、問題は起こりました。
お友達のママたちに、私はこう言われてしまったのです。
「うちの子が話しかけても、〇〇(長男)くんは何も答えてくれないから、うちの子は傷ついたみたい・・・」
「一緒にいても、何も話してくれないから、うちの子は寂しい思いをしているみたい・・・」と。
はぁ???
と、愕然としました。
そして、何を言っているの・・・?と怒りがこみ上げてしまいました。
今まで、長男が「喋らない」「喋れない」ことを、そうやってお友達に指摘されることで、長男も私もたくさん傷ついてきました。
なるべく明るく振る舞ってはいたけれど、心はズタズタでした。
苦しいのは私たちの方なんです。
「なんで喋らないの?」と言われる度に、胸が締め付けられ悲しくなるのは私たちなんです。
それなのになぜ、私たちを更に苦しめるようなことを言うの・・・?と思ってしまいました。
周りが見えていなかった
でも・・・、
それは違います。
「場面緘黙症」というものを知らないのであれば、きっと誰だってそう思います。
話しかけても答えてくれなかったら傷つくし、何も話してくれなかったら寂しいです。
お友達が傷ついた事も、寂しい思いをしたことも、何も間違ってはいません。
当然の事です。
逆の立場だったら、きっと私も親として同じように思います。
長男のことで一杯一杯になり過ぎていて、周りのことやお友達の気持ちにまで気付いてあげられずにいました。
周りが全く見えていませんでした。
「なんで喋らないの?」と言われたら・・・
それからは、「なぜ喋らないの?」と聞かれた時も、「話してくれないから寂しい」と言われた時も、まずは心を落ち着けるようにしています。
以前は、感情が高ぶり、時には怒りがこみ上げ、悲しくも辛くもなっていましたが、それは違うと気付いたからです。
長男のことを理解してもらいたい、と思うのなら、まずは相手の想いを受け止めないと。
私たちの気持ちばかりを押し付けてはダメなんです。
この先、今以上の多くの人に支えてもらうかもしれないし、助けてもらうかもしれません。
そして何より、「理解してもらいたい」と願うと思います。
それならば、
私たちに必要なことは自ずと見えてくるはずです。
ついカッとなっていた自分を反省し、長男のためにも、周りのお友達のためにも、まずはこちらが変わらなければいけないな・・・と思った出来事でした。
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