息子が不登校になるまで~『すまいるルーム』を知っていますか?~世田谷区の小学校の場合

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『すまいるルーム』って?? 

突然ですが、『すまいるルーム』を知っていますか?

聞いたことはありますか?

正式名称は「特別支援教室」です。

平成30年度から東京都全ての小学校に導入された教室で、文字通り、”特別な支援”をする教室です。世田谷区に関して言えば、2年前倒しの平成28年度から全ての小学校に配置されました。

前回のブログで私は、心にずっと引っかかっていたにも関わらず受けなかった、小学校入学前の「就学相談」について書きました。

本来なら、この「就学相談」で、保護者は自分の子どもの悩みや不安を相談し、その子に合った就学先はどこなのか、その子が必要としている支援はどういったものなのか、などを話し合うことができます。

さて、そこで出てくるのが『すまいるルーム』です。

そしてこの『すまいるルーム』に通うためには、世田谷区の教育委員会への申し込みに始まり、面談やら発達検査をした上で、在籍小学校と教育相談室の相談員とが検討した後、やっと利用の許可が下りるのです。

これがなかなか大変でした。

特に長男の場合は、先程から言っている『就学相談』の段階、つまり小学校入学前の時点では『すまいるルーム』の利用を決めていなかったので、実際小学校に入学した後に、上記の申込みやら面談やら検査やらをしました。時間も労力もかかりました。

『すまいるルーム』を利用したいと考えているお子さんは年々増加しています。

でも、指導を行う先生も場所も時間も限られているので、希望者全員がすんなり入れるわけでもなさそうです。なので尚更、小学校入学後に、この『すまいるルーム』の利用を考えているのであれば、早めの検討と行動をオススメします。

そもそも『すまいるルーム』ってどんなところ??

「すまいるルーム」という場所がどうやら小学校にあるらしい、ということは分かりました。では、そこは何をする所なのでしょう。

先に述べたように『すまいるルーム』とは、『特別支援教室』です。

世田谷区のリーフレットによると、こう書かれています。

「すまいるルーム」とは、全体的な知的発達の遅れがなく、通常の学級での学習におおむね参加できるものの、情緒の発達にかたよりがあるなど、発達上の特性によって一部特別な指導が必要と認められる場合に、コミュニケーションスキル向上などの指導を行う教室です。

拠点校に配置された教員が、グループ内の学校を巡回して指導します。児童は在籍する学校の「すまいるルーム」で指導を受けます。

なお、児童の課題に応じて、拠点校に通い、指導を受けることもあります。

参照元:平成30年度「すまいるルーム」(特別支援教室)のご案内 

つまり、通常のクラスに在籍し、大抵の時間はみんなと同じように過ごし、同じ授業を受けます。

そして1週間のうち2時間だけ、「すまいるルーム」に行き、特別な授業を受けるのです。長男の場合は、火曜日の3、4時間目だけ「すまいるルーム」に通っています。

1週間のうち、たった1日、それも2時間が基本です。それが妥当なのか、少なすぎるのかは人それぞれだと思います。後々不登校になってしまう長男の場合は、少なすぎると感じています。

では、「すまいるルーム」では何をするのでしょう。

長男が通う小学校の「すまいるルーム」はこんな感じです。

最初の45分は、少人数グループ(2~5名)による集団での授業です。何をするかというと、UNOやトランプなどのカードゲームをしたり、連想ゲームをしたり、チームを組んで取り組むようなゲームをしたりします。

遊んでいるわけではありません。ゲームを通して「コミュニケーション」の練習をするのです。

それから「運動」の時間が30分程あります。私も教室を覗いてみて驚いたのですが、ぶら下がってぐるぐる回るような大掛かりな器具やら、バランスボール、立ってペダルを漕いでバランスをとるような器具もあり、教室の中で、汗をかくほどしっかりと体を動かすことが出来ていました。

そして最後の30分間は「個別」の授業です。担当教員と1対1になり、個別の場所でそれぞれに見合った課題をじっくりと取り組みます。

どんな子が通えるの?

ゲームをしたり、運動も楽しそうだし、個別授業でも工作をしたりすることもあるので、「すまいるルーム」に来ることは、遊びに来ているように見えるかもしれません。

でも、彼らにとって「すまいるルーム」は大切な指導の場所であって、必要な時間なのです。

そもそも、許可が降りないと「すまいるルーム」には通えないので、「すまいるルーム」を利用する子たちにとっては、意味のある場所なのです。

世田谷区作成の「すまいるルーム」入級説明資料によると、こうあります。

「すまいるルーム」の対象となる児童は、「通級による指導の対象とすることが適当な自閉症者、情緒障害者、学習障害者又は注意欠陥多動性障害者に該当する児童・生徒について(通知)」(平成18年3月31日付17文科初第1178号)により規定されている、通常の学級に在籍する知的障害のない発達障害又は情緒障害であり、通常の学級での学習におおむね参加でき、一部特別な指導を必要とする程度の児童が対象となる(これまでの通級指導学級と同様)。

参照元:すまいるルーム入級説明資料

「すまいるルーム」を利用している子たちの中には、なぜ利用しているんだろう・・・?と傍から見ただけでは分からない子たちも沢山います。

だけど、「文字を書くこと」「読むこと」「計算すること」「話すこと」「聞くこと」「推論すること」の何かしらが著しく困難だったり、苦手だったりする。

注意を集中し続けることが困難だったり、人とのコミュニケーションが苦手だったりする。

そういう子どもたちにとっては、通常学級での、読む時間、書く時間、話す時間、計算する時間、考える時間が、人一倍苦しくてつらい時間なのです。

重要なのは、読み書きにおいて言えば、単に苦手で頑張ればどうにか改善できる子と、どんなに頑張っても改善できない子がいるということです。それを何らかの「障害」と呼ぶのかもしれません。

そして、そういう子たちがその苦痛の時間から逃げられる場所があったら・・・、苦手なことをゆっくりじっくり練習できる場所があったら・・・、そこはその子たちにとって「安心」できる場所なのです。

そう。彼らにとって、特に長男にとっては「安心」できる場所が必要なのだと思います。

多くの場合、彼らの「苦手」は、「不安」から生まれてくるのです。それも私たちが想像する以上の「不安」です。だからこそ、彼らにとって「すまいるルーム」は「安心」できる場所であってほしいし、沢山の安心によって不安が少しでも和らぎ、「自信」に繋がっていけばいいなぁと思います。

すまいるルームを知ってほしい

「すまいるルーム」に自身のお子さんが通われている保護者の中には、そのことを隠したい方もいらっしゃいます。色んな特性の子どもが通っているので、「すまいるルーム」に通っている子は、こういう子でこういう事が苦手、と決して一言では言えません。一人ひとり違います。だから、保護者の思いも一人ひとり違うし、細かいところまで理解してもらうのは大変だからこそ、あまり人に知られたくないと思う気持ちも分かります。

ただ、子供たちが苦しくてつらい状況に置かれている時の親のつらさは計り知れないものがあります。子供たちも苦しいけれど、親だって苦しいです。つらいです。でもやっぱり、子供たちが笑って楽しく過ごせる時間が長くあってほしい、苦手なことを克服できる時が来てほしいと願うのです。

そこは共通している思いのはずです。

だからこそ、私は「すまいるルーム」の存在する意味を知ってもらいたいし、そこに通う子どもたちのことを少しでも理解してもらいたいです。

できれば、もっと「すまいるルーム」に通える時間を増やしてほしい・・・というのも私の願いです。

コメント

  1. 水野多佳子 より:

    22歳の次男は、小5に、やっと、かんもく かんどう がわかり、8年間療育受けましたが、今だに、家の中で、家族のみにしか、一言も話せません。勉強は、出来たのですが、小学校での対応はヒドイものでした。中学は、マンモス。無理だろうナと思いました。私学に聞いてみると、話せないのであれば、学校生活が成り立たないので無理です。手帳がなくても入れる特別支援学校中学部へ 教科書を使った授業があるので、治って高校受験出来るワと思っていましたのに❌ 生きにくさで手帳取って、知的対象の特別支援学校高等部へ 2年までは、ヒドイ対応でした。今は、福祉就労で働いていますが、給料が少ないので、私が死んだら、一体、どうしたら… です

    • makoso-ume29 makoso-ume29 より:

      水野様
      コメントありがとうございます。長男と同じような緘黙のお子様を育てていらっしゃるお母様とはなかなか出会えないので、コメントを頂けただけでも嬉しいです。でも、小学校での対応がひどかったとは・・・、悲しいです。お勉強が出来たのであれば尚更です。話せないことは、本人が一番つらく苦しいことなのに。私も、今後の長男のことを思うと、不安でいっぱいです。中学はとにかく人数の少ない所を選ぶように、とカウンセラーさんからは言われています。学校に行くことが全てではないし、緘黙の子でも何かしら生きる術を見つけてくれたら・・・と願うばかりですが、なかなか現実は厳しいですよね。でも、細々ですが、こうして発信していくことで、私自身は救われることもあります。緘黙の子どもや大人たちも、もっと生きやすい社会になれば・・・いいですよね。

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