息子が不登校になるまで~いきなりのピンチ!?③~いじめられた長男への学校の対応とは

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さらに前回の続きです。

迷ったけれど、学校に連絡してみる

さて、長男が上級生に何やらいじめられ、それをたまたま目撃した顔見知りのお父さんが、必死で私に電話をしてくれたところまで書きました。そのお父さんが私に伝えてくれたことは、見たままの状況と、学校にすぐに連絡しなさい!ということ。

・・・正直、迷いました。

もちろん、理由はどうであれ、無抵抗だった長男を乱暴していたという事実は許せません。まして長男は、入学したばかりの一年生です。はらわたが煮えくり返ります。

だけど私が一番辛かったことは、その出来事には、長男が『話せない』という事実が少なからず関係していて、やはりそれは傍からは分かりにくい、理解されにくいものだからこそ起こってしまったのではないか、ということ。

もし長男が『場面緘黙症』ではなかったら、「やめて」と言えたかもしれない。そもそも、話しかけられた(かもしれない)時に、ちゃんと答えていたらこうはならなかったかもしれない・・・。

本当にもどかしくてモヤモヤします。

似たようなケースは今までだって沢山ありました。

長男が「話さない」ばっかりに誤解されることはしばしば。些細な子供のケンカも、本当はお互い様なのにな・・・と思っても、アピール下手な長男が責められることもありました。

「話せない」って、本当にもどかしいのです。長男はもちろん、家族も周りも。

さて、散々迷い、私はモンペか?と悩みつつ、でも、お父さんの「絶対に学校に言いなさい!」という言葉を思い出し、思い切って学校に電話をしてみました。私も実際には見ていないし、肝心の発端の部分もハッキリしない以上、上級生の子だけが悪いとは言い切れません。ただ、長男が「話せない」ことに少しでも要因があるとしたら、これは単純ないじめだけでは済まされない複雑な問題も絡んでいると思ったからです。

学校の対応は・・・!?

電話が1~2回鳴っただけですぐに応答がありました。電話の向こうの相手は、副校長先生でした。そう、長男の事が不安だった私に、入学前に一度面談を、と学校で話をしたあの副校長先生です。↓

息子が不登校になるまで~『就学時健康診断』の後、再び小学校へ出向き面談を~

「どうしましたか?」とハキハキとした声で言われました。

私はドキドキしながらも、下校途中に長男の身に起きたこと、それをたまたま目撃した方がわざわざ連絡してくれたこと、こんな事でお電話して良いものかと悩んだこと、でも長男の特徴のせいで、今後もまた同じような事が起こるかもしれないということ・・・などを話しました。

すべて聞き終えた副校長先生はまず、

「連絡下さってありがとうございます。とても大切な事です。」

とキッパリ言いました。

そして、私がお父さんや長男から聞いた限りの事を、副校長先生も事細かく聞いてくれました。

あぁ、ちゃんと聞いてくれるんだ、良かった・・・。

と、最初は安心しました。

でも、やはりこれが学校としての対応なんだな・・・と、それが当たり前の事かもしれないし仕方ないけれど、少しだけガッカリしてしまいました。

なぜなら副校長先生は、すぐさま「犯人探し」(言葉は悪いですが)を始めようとしたからです。

乱暴された場所はどの辺りか、どっちに帰って行ったのか、その上級生の背格好はどうだったか・・・などなど。

長男は、恐怖のあまり顔はあまり覚えていないと言っていました。そりゃそうでしょう。

すると副校長先生は続けて、「明日、ちょうど体育館で全校集会があるから、〇〇君(長男)と一緒に入口に立って、犯人を見つけ出したいと思います」と提案してきました。

結構驚いた私はすぐに言いました。

「長男は、きっとそんな事をするのは余計に怖いと思います。私も犯人探しをしてほしいワケではありません。ただ、こういう出来事があったと知って欲しかったのと、「いじめ問題」を考えるキッカケになれば、という事と、あわよくば、「場面緘黙症」を知る機会にもなるのでは・・・」と。

副校長先生は引き下がりません。

「いやいや、お母さん。これはれっきとしたいじめです。きちんとやった生徒に反省をしてもらわないといけないんです。今この瞬間に、根を摘んでおかなければその生徒のためにもならないのです。大人が、先生が、みんなが見ているんだぞ!ということも分からせないとダメなんです。」

分かります。言わんとしていることはよく分かります。ごもっともです。

仮にその生徒が見つかったとして、反省を促し、根を摘めたとしたら、その生徒にとってはためになるのかもしれない。ならないかもしれないけど。

でも、それでいいのだろうか・・・。長男にとってもそれでいいのだろうか・・・。これが解決したら、それで良しなのか・・・。何だかもっと深い所に問題があるような気がしてならないのです。

だけど、それもきっと親のエゴなのかな・・・、とも思いました。

今回、悲しい出来事が起こりそうになった時、私が側にいて、「ごめんね、この子は話すことが苦手でね、お返事するのも難しくて。だけど決して無視しているワケではないんだよ。全て分かっているし、いや人一倍理解しているし、なんなら家とか家族や親しいお友達にはベラベラ喋れてね・・・」と、いちいち説明できたらどんなにいいでしょう。こんな事にはならないで済むのです。

むしろ毎回毎回、そうしたいです。

でも出来ません。当たり前だけど、出来ないのです。

もしも長男に口がなかったら、みんなは「あぁ、この子は話せない子なんだな」とすぐに分かってくれるかもしれませんが・・・。

あ、結局、翌日副校長先生と長男は、体育館の入口に立ちました。「あの子だ!」と思う子がいたら、合図をしてね、と言われたそうです。

もちろん、分からずじまいでした。

だから言ったでしょう。怖くて覚えていない、と。万が一、万が一本当は覚えていたとしても、決して言わないと思います。

あっけない幕引き

こうして、私たち親子にとっての悲しい出来事は、犯人(言い方悪いです)は見つからず、上級生のクラスで話をしてくれて、何となく終わる・・・という感じで幕を下ろしました。

私たちにとっては、スッキリ解決したわけでは決してないけれど、少なくとも私には分かったことがあります。

ハッキリと目には見えない「情緒の問題」を抱えている場合、分かってもらえない苦しさや辛さは、本人の努力だけではどうにもならないことがあるということを。

今回の出来事もそうです。

たまたま通りかかったお父さんが見つけてくれなかったら・・・、そもそも長男がこういう子だということを私がそのお父さんに話していなかったら・・・。もしかしたら長男だけが抱え込んで終わりになっていたかもしれません。

周りに助けられてこそ、の部分もとても大きいのです。今までもそしてこれからもです。

とりあえず、だから私はこのブログを始めたのだと思います。少しでも「場面緘黙症」というものを知ってもらいたいから。理解してもらいたいから。良い事も悪い事も。

・・・長くなりましたが、これで下校時の悲しい出来事の話は終わりです。

コメント

  1. ヒルコ より:

    本当に大変だったのですね。難しい問題です。その副校長先生も、犯人探しを体育館の中で全校生徒の前でやったのは、ヒルコは副校長が許せないです。余計に晒し者になるし、プライバシーの侵害にも成りかねないし、なんせホウフクが一番怖いです。一人ひとりがどんな病気かを分かって貰えないのは、辛いですよね。ヒルコもみんなに分かって貰えなくて、ずっと辛い思いをしてきました。難しいですよね、あなたのエピソードを聞き、ヒルコも勉強になりました。病気も人によって十人十色、100%同じ病気の人なんて居ませんし、ヒルコもあなたを理解出来てなかったのなら、謝ります。すみませんでした。

    • makoso-ume29 makoso-ume29 より:

      ヒルコさん、いつもコメントありがとうございます。そして返信が遅くてごめんなさい。でも、いつも関心を持って下さることに大変有り難く、励みになっています!今回の出来事は・・・、本当に難しい問題ですよね。今思えば、もう4年くらい前のことなのに、電話をもらった時や学校に連絡した時の、心臓のドキドキは鮮明に覚えています。そして体育館で副校長先生と並び、おそらく下を向いてビクビクしていたであろう長男の様子も想像できます。そうなんです、報復されることが怖い、と長男も言っていました。当時1年生の子が。だからと言って、そっとしておいていいのか、勇気を出して動かないといけないのか・・・、難しいです。ヒルコさんの過去のご経験や、先生として生徒さんと関わってきたからこそ分かる様々なこと、有り難く読ませて頂いていますよ。どうか謝らないで下さいね。

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