長男の好き嫌い
長男は、小さい頃から、言ってしまえば「赤ちゃん」の頃から、大人に対する「好き嫌い」がハッキリしていました。
赤ちゃんの頃、長男が気に入っている大人には、自分からどんどん近づいていき笑顔を振りまき、苦手な(嫌いな?)大人には、目を合わせただけで泣き出しました。
それは初対面の人に対しても同じで、まるで長男の中で何かを瞬時に感じ取るようでした。
私もそんな長男とずっと一緒にいると、長男の好き嫌いがなんとなく分かってきて、「あ、この人のことはダメだろうなぁ・・・」と思った人には、やっぱりすごい拒否反応を示しました。
長男の中で苦手意識が芽生えると、どうやってもその感情が覆ることはなく、ず~っと苦手のままでした。
「苦手」とされてしまった大人に対しては、長男のことをどんなにあやしてくれても、抱っこしてくれても、長男は泣き叫ぶだけで、その場から逃げ出そうとしました。
そのどうしようもできない状況に、私はただひたすら、申し訳ないな・・・と思っていました。
幼稚園でますます明らかになる「好き嫌い」のパターン
長男の「好き嫌い」が顕著になってきたのは、長男が幼稚園に入園した時でした。
年少で、初めて長男を受け持ってくれた先生は、大ベテランの先生でした。
そしていわゆる長男が「苦手」とするタイプの先生でもありました・・・。
もちろん、先生自体はとても素敵な先生なのです。
厳しくもあり、優しくもあり、子供たちのことをとても大切にしてくれるベテラン先生なのだから。
でも、とても元気でパワーが凄いというか、持っているエネルギーが熱いというか、ほんわかタイプとは逆のタイプです。
そう、長男は、そんなエネルギッシュなタイプの大人が苦手なのです。
もっと苦手なのは、矢継ぎ早にガンガン質問してくるような大人なのですが・・・。
そして案の定、長男は先生に心を開きませんでした。
先生は、話さない長男に対し、どうしたもんか・・・とあの手この手で対応してくれたのですが、前述したように、一度苦手意識がついてしまった長男の心はなかなか簡単には変わりません。
結局、卒園するまで、その先生と話すことはなかったように思います。
そして小学生になった今でも、その先生に会う機会があると、とてつもなく緊張するそうです。
幼い頃に出会う大人は重要
今思えば、良くも悪くも、年少の長男が初めて出会った先生のインパクトは強く、少なからず影響を受けたと思います。
幼稚園で、先生と長男がどんなやり取りをしていたのか、私は先生から聞いているだけなので、本当のところは分からないし、もしかしたら、たまには厳しく叱られることもあったのかもしれません。
もちろん、それでもいいんです。
長男が「場面緘黙症」でなかったのなら。
先生は親である「私」のことも、いつも気にかけてくれて、一人で抱え込んじゃダメよ、とよく話を聞いてくれました。そして先生にとっても、長い教員生活の中で、長男はとても印象に残る生徒でした。
だけど、先生は長男が卒園する時に、私に言いました。
最後の最後まで、長男にどう接してあげるのが正解なのか分からなかった・・・と。
親の私が分からなかったように、先生もまた分からなかったのです。
そして、褒めても叱っても、促してみても放っておいても、反応の薄い長男の態度に、先生もまた苦しんだのだと思います。
でも、今でこそ言えることだけど、長男が幼い頃に出会う「大人」はとても重要な役割を持っています。
長男の心の扉がより一層重くなるのか、軽くなるのか、そこに大きな影響を与えるからです。
なので私は、小学校入学前は、とても慎重になりました。
「先生」との関わりは、「場面緘黙症」の子供にとっては、とても重要なことだから。
それは、私が長男の幼稚園生活で学んだことでもありました。
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