ゲームは与えたくなかったけれど・・・
私が子供の頃は、学校から家に帰るとすぐ、ランドセルを置いて、お友達の家に遊びに行ったり、夕方になるまで外で遊んでいるような毎日でした。
男の子たちの中には、小学生の高学年頃になるとゲーム(テレビゲームのこと)をする子たちも沢山いましたが、私の親は厳しかったのか、そういう信念を持っていたのか、私にはもちろん、私の兄にもゲームを買い与えることはありませんでした。
それでも、今とは違い、ゲームを持っていないからと言って仲間外れにされることもなく、なければない様に楽しく友達とも遊べました。
それに比べ、今の子供たちは、わりと早い時期からゲームを持っている子が多いです。
そして持っていないことが原因で、仲間に入れてもらえなかったりすることもあるようです。
外の公園に集まって、それぞれがゲームをしている・・・なんて光景もよく見かけます。
私は、そんな光景があまり好きではなく、外では元気に走り回って遊ぶもの!と思っていたので、自分が親になった今、子供たちにゲームを買ってあげる事にはずっと「反対」でした。
ところが、
長男は、幼稚園の年中の頃には、ゲームを欲しがるようになりました。
赤ちゃんの頃から、スマホで「動画」を見る時代です。
色々な情報が入ってくるのも早いし、自分で調べることも簡単な時代です。
誕生日やクリスマスのプレゼントが、プラレールやトミカ、様々なおもちゃだったのは僅か数年で、「今度のクリスマスには、サンタさんにゲームをもらおう!」と、長男は早々に言うようになりました。
ゲーム反対派だった私は、悩みました。
考え方が古いかもしれないけれど、私はゲームなしで育ったせいか、「ゲームなんて不健康」みたいな思いが消えずにいました。
お友達と遊ぶ時はどうするのか・・・という問題
そんな中、私の中で切実な問題として浮上していたのが、長男の「お友達」問題です。
年少、年中の頃は、長男が話さないことは、そこまで周りのお友達も気にならなかったのかもしれません。
「◯◯(長男)くんと遊びたい!」「おうちに遊びに行きたい」と言ってくれるお友達も何人かいるほどでした。
それでも、せっかく遊びに来てくれたのに、長男はほとんど話さないのです。
いや、正確には、お友達には直接話さず、私を通して会話をする感じでした。
なので、私の方が疲れました。
お友達がつまらない思いをしないように、と気を遣うし、長男の気持ちも分かってあげなければ、と慎重になるし。お友達と別れた後は、どっと疲れました。
そんな時、お友達が持ってきた「ゲーム」が、その場の空気を変えました。
本や動画で情報を得ていた長男は、なんとゲームがうまかったのです。
そして、楽しくて興奮したせいか、思わず笑ったり、動作も大きくなっていました。
後から分かることですが、「場面緘黙症」が関係しているのかどうかは定かではないけれど、長男の場合、目で見た「情報」を読み取る力が人よりもずっと長けていたのです。
だから、この時も、「ゲーム」に関する予備知識を、すでに「自分のもの」にしていた長男は、持ってもいないし、やったこともないのに、異様にゲームが上手でした。
専門家からのアドバイス
私がゲームを買い与えることを渋っていること、でも、思いがけず「ゲーム」が救世主となって、お友達と楽しく遊べたこと、などを専門家の方に相談してみました。
すると、
「今、こうして私とあなたの二人が、向かい合って目を見てずっと話すのと、絵やテレビなど「何か」を介して、それを見ながら話すのとでは、どちらが緊張しますか?」
と言われたのです。
つまり、長男にとっても同じことなんです。
たとえ自分の家であろうと、初めて来たお友達と話すことは、長男にとってはとても緊張することです。
でも、そこに大好きで得意な「ゲーム」があることで、長男の緊張は和らぐのだ、と。
「ゲーム」が、「場面緘黙症」の長男にとっては、重要な「コミュニケーションツール」になりうるのだ、と。
そう思えば、「ゲーム」を買ってあげることも、決してマイナスなことではないかもしれませんよ、とも言われました。
・・・それから少し経ってからにはなりますが、私は「ゲーム」を買うことに決めたのです。
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